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緊急一時宿泊施設(シェルター)利用者アンケート調査実施!

更新日:2021年9月10日

 大阪ホームレス就業支援センターが所在する大阪市西成区の北東部(あいりん地域、釜ヶ崎などと呼ばれます。以下「あいりん地域」といいます。)には、路上生活を余儀なくされているなど居住基盤が不安定な状態にある人々が集住しています。彼らに対する公的支援施策の一つに、緊急一時宿泊施設事業(大阪市設置。以下「シェルター」といいます。)があります。

 大阪市によるあいりん地域における緊急一時宿泊事業は、運動団体による自主設置の前史を経て2000年4月から開始され、現在まで続いています。シェルターの利用者は、路上生活者等の減少傾向に伴って減少し、現在はおよそ170人程度となっています(2021年4月)。

 大阪ホームレス就業支援センターでは、2021年2月にシェルター利用者等に対して就労に関するアンケート調査をおこない、就業機会拡大の方向性を定めるために彼らの生活のありようや就労に関する実態、ニーズについて明らかにしようと試みました。

 その結果、シェルターを常時利用している方々のうち、社会的就労(高齢日雇労働者特別清掃事業。シェルター事業と並ぶ、あいりん地域における主要な公的支援施策のひとつ。)に参加していない102人から回答を得ることができました。調査の対象から社会的就労従事者を除いたのは、多少なりとも定期的な収入を得ることのできる社会的就労というセーフティネットに包摂されていない人々のほうが、就業機会の確保という点についてより切実なニーズをもっていると推測されるからです。

 この調査結果によりますと、シェルターを利用している住居不安定者のうち、求職活動をおこなっている人の割合は約55%。求職活動の手段に利用しているのは新聞・雑誌がもっとも多く(39.2%)希望上位の職種は倉庫業、清掃業、製造業の順になりました。

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 また、求職活動をするにあたり必要な支援としては「住まい」「携帯電話」「日払い仕事の紹介」を望む方が多く、これらのニーズを満たすための支援を、適時適切に実施することが必要であるとわかりました。

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 昨年の「お知らせ」では、コロナ禍における新たな支援として「クラウドファンディング手法による居住支援」を紹介しましたが、今後も就労支援の実効性向上のために居住支援策の維持・拡充を図るとともに、その他の支援(インフラとしての携帯電話の提供や、安定した就労生活へのテイクオフを支える経済的支援など)についても拡充にむけて努力していきたいと考えています。

 政府による再分配機能が十全に機能しているとは言い難い現状を踏まえ、改めて公助の必要性を訴え続けるとともに、私たち自身も支えあいの担い手として在り続けることができるよう、ディーセントワークの実現に向けてともに頑張りましょう。